研究概要 |
口腔機能としての味覚および温度感覚は,味覚検査液(甘味:スクロース,塩味:塩化ナトリウム,酸味:酒石酸,苦味:塩酸キニーネ)の温度を5,15,30,45,55℃に変化させ,全口腔法味覚検査にて検査するシステムを確立し20及び40歳代成人有歯顎者と高齢自然歯列者及び高齢総義歯装着者にて検索を行った。20,40歳代成人有歯顎者及び高齢自然歯列者においては,いずれの味覚においても,また温度においても殆ど有意差を認めなかったが,高齢総義歯装着者では検知閑値および認知閾値ともに甘味以外で他の被験者群と比較して有意に高い値を認めた。 舌運動機能は,被験食品(5g)を習慣性咀嚼運動の1回嚥下を被験運動とした際の,舌圧を全口蓋床に圧力センサPS-1KC(共和電業)を埋入して測定すると同時に,顎筋筋活動(咬筋浅部,顎二腹筋前腹,口輪筋,胸鎖乳突筋)を同時測定するシステムを確立し実験を行っている。その結果,20歳代成人有歯顎者(20名)では,最大舌圧は,咀嚼前・中・期では口蓋前方部で大となり,咀嚼後期では口蓋前方部および口蓋小窩部で大となった。舌接触時間でも咀嚼口蓋前方部で大となったが,特に犬歯と第一小臼歯の隣接口蓋側部で著名に大となっており,咀嚼時において舌と口蓋の接触が,食塊の形成に重要であると推察している。 顎筋筋活動の検査においては,筋作業効率を測定するシステムを確立し,20歳代成人有歯顎者(20名)については最大咬合力に達するまでに要する時間は350msecという結果を得ている。今後,各項目において分析項目を増やし,40歳代成人有歯顎者,高齢有歯顎者および高齢総義歯装着者のデータ採取を行い,20歳代成人有歯顎者のデータと比較,検討を行う予定である。
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