研究課題/領域番号 |
16390630
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
黒田 裕子 北里大学, 看護学部, 教授 (90234616)
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研究分担者 |
小田 正枝 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80194562)
中木 高夫 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40110564)
山勢 博彰 山口大学, 医学部, 教授 (90279357)
岡崎 寿美子 北里大学, 看護学部, 教授 (30185417)
柏木 公一 国立看護大学校, 看護学部, 講師 (20334378)
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キーワード | 電子カルテシステム / 看護実践用語分類 / 看護師の思考過程 / NANDA看護診断分類法 / 看護成果分類法 / 看護介入分類法 |
研究概要 |
平成18年度は、2005年12月〜2006年4月にかけて実施してきた全国18医療機関の看護師48名を対象者とした面接調査内容を分析した。この面接調査の目的は、看護師が看護過程にそった思考過程をどのように電子カルテに入力しているのか、電子カルテを使う看護師の思考過程の特徴を明らかにすることであった。18医療機関における電子カルテシステムの設計が異なることもあって、対象者の多様な思考過程が明らかとなった。最も多かった思考過程の特徴は、電子カルテを使う以前から、紙ベースで行っていた看護過程と同様の思考パターンをたどっていたことであった。つまり、医学志向的な視点から患者情報をアセスメントしていた対象者は、電子カルテ化が成されたとしてもそのアセスメントの視点の傾向は変化していなかった。一方、紙ベースの時から、看護的な視点で患者情報をアセスメントしていた対象者は、電子化が成されても同様に、看護的な視点から患者を全体論的に捉えようとする思考過程が踏まれていた。 さらに、電子カルテにNANDA看護診断分類法・看護成果分類法・看護介入分類法の各実践用語分類が内蔵されている医療機関の対象者は、これら実践用語分類の選定過程に困難を要していた。この選定過程は、電子カルテの効率的な設計が成されている場合は、より容易に選定が成されるが、そうでない場合は、より困難を増していた。また、対象者があらかじめどのような各実践用語分類が内蔵されているのかを熟知していない場合は、医療機関や病棟単位で標準化された思考のパターンに従うような思考過程をたどっており、看護師1人1人の看護アセスメントの独自性は反映されているとは言えなかった。 以上のような平成18年度の調査結果の分析を含めて、最終年度となった本年度は、過去に行ってきた本研究課題に対する調査の幾つかを通して、電子カルテシステムにおける看護実践用語分類のモデル構築に向けた提言を報告書としてまとめていくことを目指して現在取り組んでいるところである。
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