研究概要 |
本研究は病棟間・施設問で比較可能な標準化された看護マネジメントデータベースの開発を目指している。今年度は看護マネジメントに関する指標,看護サービスや医療の質を評価する指標,データセット,指標となる用語の定義(標準化)についての文献レビューをもとに指標の整理・分析を行った。 1)指標・データセット 米国では看護質指標データベースや看護管理ミニマムデータセット(NMMDs)の開発をはじめ,看護を最も反映する患者アウトカム指標が検討されていた。看護マネジメントに関する指標として看護提供単位,ケア提供方法,サービスの量(患者一人あたりのケア時間),看護師人員配置数が多く用いられていた。またNMMDSでは管理者がもつ組織の意思決定権の程度,財政的資源(予算)も指標としていた。アウトカムに関する指標は在院日数,感染や事故の発生率,患者・看護師満足度が用いられていた。日本では日本看護協会が人員配置と患者アウトカムとの関係を調べることを目的に「看護管理データベース」(案)を開発した(患者の動向,患者背景・重傷度,患者アウトカム・有害事象,看護要員の勤務状況の4区分,28指標で構成)。 2)用語の標準化 米国では看護診断用語集や看護介入用語集など,13の看護用語集が米国看護師協会によって公認されていた。日本では日本看護管理学会が看護管理用語について検討している(未公表)。また日本看護科学学会で看護に関する用語の統一が進められているが,その範囲は「療養上の世話」で看護管理に関する用語は検討されていない。さらに「電子カルテで使用する全国標準のマスターファイルの開発」(医療情報システム開発センター)においても看護管理に関する用語は扱われていない。 次の段階として,看護管理者の意思決定を支援するうえで有用な看護マネジメント指標・アウトカム指標を選別すること,また病棟や施設を越えて共通して使用できるために用語(指標)の定義・標準化を行う。
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