研究課題/領域番号 |
16390635
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上別府 圭子 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70337856)
|
研究分担者 |
井田 孔明 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60313128)
滝田 順子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00359621)
尾関 志保 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (20361462)
小林 京子 神戸大学, 医学部, 助手 (30437446)
|
キーワード | 小児がん / 家族 / 晩期障害 / 心的外傷後ストレス症状 / クオリティ・ライフ / サバイバー / 症状 |
研究概要 |
1.小児がん治療中の子どもが経験する症状に関して、子どもと家族の体験や対処方法を明らかにする目的で、13名の子ども(小児がん経験者を含む)とその親を対象に、参加観察および面接・描画による調査を行った。分析の結果、子どもが子どもなりに独自の対処方法を見出し、家族のサポートを受けながら症状に対処していくプロセスと、そのプロセスに影響を与えうる子どもと家族の体験が明らかになった。 2.小児がん経験者の母親4名と血液外来に勤務する看護師5名を対象に子どもに対する関わりについてKJ法を用いた面接調査を行なった。母親は自分の役割を現在行なう役割と将来のために行なう役割から考えており、看護師からのサポートによって、退院後期間が長くなると、より将来に向けての役割をとるようになっていた。 3.思春期と成人期の小児がんサバイバーと家族の、晩期障害、社会的適応状態、心的外傷後ストレス症状(PTSS)、QOLを調査した。サバイバーは多彩な晩期障害をもっていた。また、一部のサバイバーと家族は、重症PTSSをもっていたり、QOLが低かった。きょうだいや両親をも含めた小児がんフォローアップシステムが構築されるべきであることが示唆された。 4.小児がんの治療が終結したあとの、サバイバーの母親の経験を知るために、質的研究を行った。ほとんどの母親は、小児がんの治療終了後、『小児がんの子どもの世話をする人』というアイデンティティを失って、アイデンティティ・クライシスに陥っていた。母親たちが長年、身体的愁訴やうつ状態で悩んでいることが明らかになった。
|