研究課題
胃がん・乳がん患者が期待する周手術期医療情報システムについては(大腸がん肺がんは因子分析には対象数がまだ不十分であった。)、因子分析の結果、患者が周手術期に得た情報は、がんと手術に関する情報、術前・術後の生活に関する情報、病院や医師の情報、それぞれの術式に応じた術後に必要なセルフケアの情報から構成されていた。医療情報を得る際の問題点は、転移の不安、個人差があり自分に当てはまるかわからない、医療者の説明が食い違う、検査病気手術の説明が不十分などの因子から構成されていた。患者が得たい医療情報は、退院後の問題点と対応策の情報、化学療法の知識、仕事をする際の注意点などの因子から構成されていた。患者が求める医療情報は、わかりやすく何でも聞ける方法、すぐ相談できる方法、本や患者会など病院以外の方法などの因子から構成されていた。看護師が提供している周手術期医療情報システムは、対象者が足りず追加調査を行ったため現在分析中である。胃がん・乳がん患者の調査結果から、周手術期医療情報システムは、パンフレットによる情報提供と、わかりやすく何でも聞ける電話による個別相談システムが望ましいと考えられた。また、パンフレットには、がんと手術に関する情報、術前・術後の生活に関する情報、病院や医師の情報、術後に必要なセルフケアの情報、退院後の問題点と対応策の情報、化学療法の知識、仕事をする際の注意点などの情報を盛り込むことが望ましいと考えられた。調査結果に基づいてパンレットを作成し、電話相談を行った。医療従事者にパンフレットの内容・電話相談についてヒアリングを行った結果、パンフレットについては、図やイラストを増やし、患者にわかりやすいQ&Aを加えたものが良い、本として出版し患者が購入できる方が印刷費の問題がなく継続して情報提供できる、パンフレットは手術前に外来で配布する方が患者の準備状況から見ると適切である等の意見があった。電話相談は病院では職員配置ができず対応できない、院外の担当者の連絡先を患者に紹介するのは責任の所在等の問題があり難しい等の意見が寄せられた。パンフレットは手術前に外来で手術が決まった患者に配布するシステムを整え、最終的には出版することが必要であると考えられた。電話相談については、病院内の組織として行うことは難しく、患者の調査結果からも病院以外のすぐ相談できる方法として大学で行っている電話相談を継続することが必要であると考えられた。