研究概要 |
本研究では,成長・発達に影響しうる双子および三つ子以上の多胎児への乳児期における栄養状況を単胎児との比較から調査し,かつこれらに影響する要因を検討した。 対象は,当研究室にて把握しており,かつ研究の趣旨説明に同意の得られた6歳以下の双子をもつ母親1586名,および6歳以下の三つ子以上の多胎児をもつ母親273名(三つ子の母親249名,四つ子の母親20名,五つ子の母親4名)である。なお,6歳以下の単胎児をもつ母親1300名を対照群として得た。 乳児期の授乳方法について分析すると,単胎児,双子,三つ子以上の多胎児間で授乳方法に有意(p<0.001)な差異が認められ,単胎児の授乳方法では母乳のみによる授乳が31.0%,混合栄養が64.0%,人工栄養のみによる授乳が5.0%であり,双子では母乳のみによる授乳が5.4%,混合栄養が78.7%,人工栄養のみによる授乳が16.0%で,かつ三つ子では母乳のみによる授乳が3.6%,混合栄養が75.2%,人工栄養のみによる授乳が21.2%と,双子ならびに三つ子以上の多胎児で人工栄養のみによる授乳が多くなっていた。さらに,母乳のみによる授乳および混合栄養により授乳していた母親の母乳を与えている期間を分析すると,単胎児では9.53ヶ月(SD=5.71),双子で5.86ヶ月(SD=5.04),三つ子で4.97ヶ月(SD=4.83)と,単胎児に比べ双子,三つ子以上の多胎児で母乳を与えている期間が有意(p<0.001)に短かった。さらに,双子,三つ子以上の多胎児に対し人工栄養のみにより授乳していた母親に影響していた要因を分析すると,人工栄養のみを選択していた母親はそれ以外の授乳方法を選択していた母親よりも夫の育児協力のない者が有意に多いことが明らかとなった。
|