研究概要 |
本研究では,多胎児の成長発達に影響する授乳状況を分析するため,出生後3か月から6か月における単胎児,双子および三つ子への授乳実態を分析し,かつこれらに影響する要因を明らかにすることを目的とした。本研究で用いたデータは,A市において2001年4月から2004年7月までに4か月児健康診査を受診した児の健診データのうち,個人情報を除外したデータファイルを用いた。 4か月児健康診査を受診した児は15262名であった。4か月児健康診査の受診児は,単胎児が14963名(98.0%),双子が290名(1.9%),三つ子が9名(0.1%)であった。授乳状況を分析すると,単胎児,双子・三つ子間で授乳状況に有意(p<0.001)な差異が認められ,単胎児では母乳のみによる授乳が44.7%,混合栄養が30.3%,人工栄養のみによる授乳が25.0%であった。これに対して,双子ならびに三つ子では,母乳のみによる授乳が4.1%,混合栄養が43.4%,人工栄養のみによる授乳が52.5%で,双子ならびに三つ子は単胎児に比べ人工栄養のみによる授乳が多くなっていた。さらに,授乳状況に関連すると予測される各要因について多変量解析を用いて分析すると,双子・三つ子,吸綴力が弱い場合,母親の健康状態が悪化している場合に,人工栄養のみになる可能性が高いことが明らかとなった。
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