研究課題
基盤研究(B)
【目的】百寿者の家族による介護体験の経年的変化と対処行動の実態を明らかにするために、百寿者とその家族介護者への訪問調査を行った。【方法】1.調査期間:平成16年4月〜10月 2.対象者:都内在住の百寿者10名(男性1名、女性9名)と家族介護者11名(男性1名、女性10名)。3.調査方法:Barthal Index、NM-scale、Zaritによる介護負担尺度を用いた。介護の経過、介護者の生活満足度、介護者と百寿者の関係性、介護へのコーピングパターン、介護に関する将来の予測や考えなどについて介護者に質問を行った。【結果】全体的に、一日の介護時間が長い人ほど介護負担度も高い傾向にあり、11名中4名の介護者は、百寿者の介護を毎日24時間行っていた。しかし、この4名中3名は一日の介護時間が長いにもかかわらず、介護負担度が低かった。全体として、介護負担度と一日の介護時間数、介護期間、百寿者の要介護度、NM-スケールの合計点に有意な関係は見られなかった。ほとんどの介護者は、高齢である親の介護を当然のこととして捉えていた。百寿者と介護者の関係性の良さは、介護の継続性に関連していた。介護においては、離床や入浴時の移乗・移動が最も大変な援助であることから、入浴サービスを利用するケースが多かった。周囲に親戚などがいるケースでは、介護の手伝いをしてもらっている者が多かった。殆どの介護者は、介護のある生活の中で歌や運動など自分の時間を使って上手に気分転換を図ることができていた。多くの介護者は、この先も百寿者が今の健康状態を維持し続けることを願い、最期まで自宅で看たいという介護に前向きな姿勢をもっていることが明らかになった。【今後の予定】平成17年度は、引き続き都内在住の百寿者と家族介護者訪問する他、施設入所した百寿者の家族にも訪問調査を行ない、両者の比較検討を行う予定である。
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57th Annual Scientific Meeting Gerontological Society of America, Nov.19-23, 2004, Washington DC, USA 44・1
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