研究概要 |
【概要】百寿者の家族による介護体験の経年的変化と対処行動のプロセスを捉えることにより、高齢社会に存在するあらゆる介護困難への対処方法を確立することを目的とし、2年目は、昨年度と今年度に調査した百寿者と家族介護者の比較、入所中の百寿者・家族介護者と在宅百寿者・家族介護者の比較を行なった。 【方法】1.調査期間:平成17年4月〜平成18年3月 2.対象者:都内在宅の百寿者・家族介護者4組と施設入所の百寿者・家族介護者1組。 比較対象者:昨年度に調査を行なった都内在宅の百寿者・家族介護者11組。 3.調査方法:半構成質問紙では、Barthal Index、NM-scale、Zarit、介護者の心身の健康状態などについて質問し、インタビューでは、介護の経過、介護者の生活満足度、介護者と百寿者の関係性、介護へのコーピングパターン、介護に関する将来の予測や考えなどについて質問を行なった。 【結果】対象者:百寿者5名(女性、平均年齢104歳、平均NM-scale 36.6、平均要介護度3,5)、介護者5名(女性、平均年齢77.5歳、続柄は娘4名、姪1名。平均Zarit値47.5)。昨年度の百寿者の平均年齢は103歳、介護者平均年齢は68.2歳、続柄は娘7名、息子2名、嫁2名であった。介護負担度については、5組中自宅での独居生活が不可能となり施設入所した事例のZarit値が一番低かったが、他組と比較し、続柄(姪)や百寿者との同居の経験がないなど背景が異なる事例であった。昨年の調査結果とほぼ同様、ほとんどの介護者は、一日の介護時間が長く、高齢である親の介護を当然のこととして捉えていた。その背景には、多くの百寿者と介護者が長い人生において何らかの苦労を共にしており、その苦労を乗り越えたことに対する百寿者への介護者の感謝の気持ちと良い人間関係性が現在の介護の継続性につながっている状況があった。 【今後の予定】平成18年度は、施設入所した百寿者と家族介護者の訪問件数を増やし、施設入所と在宅百寿者・家族介護者の比較検討と在宅百寿者・家族介護者の地域の違いに関する比較検討を行なう。既に百寿者が死亡している家族を訪問し、介護の振り返りに関する調査を行なう。1年目に訪問した百寿者・家族介護者への継続調査のための訪問を行ない、本研究全体のまとめを行なう。
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