研究課題
【目的】百寿者家族の介護体験の経年的変化と対処行動の実態を明らかにするために、都内在住の百寿者とその家族介護者と百寿者が死亡した家族へ訪問調査を行った。【方法】1.調査期間:平成18年4月〜平成19年2月。2.対象者:百寿者と介護者4組。比較対象者:百寿者が死亡した家族6名。両群のうち、追跡調査が3組。3.調査方法:在住の百寿者には、Barthal Index、NM-scaleなどを用い、介護者には、介護の経過と対処行動、生活満足度、百寿者との関係性、Zaritなどについて質問した。百寿者が志望した介護者には、亡くなる迄の経過について質問し、両群の比較分析を行った。【結果】対象者:在住の百寿者(女性4名、平均年齢104.7歳、平均NM-scale26点、平均要介護度4.2度)と介護者(続柄は、娘2名、息子1名、孫の嫁1名。平均年齢65.5歳、平均Zarit値54)4組。百寿者が死亡した介護者6名(続柄は、娘2名、嫁4名。平均年齢75歳)。介護負担度と一日の介護時間数、介護期間、百寿者の要介護度、NM-スケールの合計点に有意な関係は見られなかった。転倒による骨折、脳梗塞などの病気や入院が介護開始のきっかけになることが多く、それらによって生じる食事行動、移動能力低下への介護の大変さが多く挙げられた。利用するサービスには訪問看護、入浴サービスなど自宅訪問のものが多く、ショートスティなどケア施設の利用は少なかった。百寿者と介護者の関係性の良さが介護の継続性に関連していた。百寿者が死亡した介護者には、介護への満足感があるものが多い一方、施設入所に伴うケアの質も問題など、介護に悔いがあるものもみられた。3年間の調査結果として、続柄や死別の有無に関係なく、介護をしているという実感がうすい場合が多く、「親の介護は当たり前」「自分も行く道」など介護経験を肯定的に受け止めていた。
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第26回日本看護科学学会学術集会,平成18年12月2-3日,神戸.
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