【目的】本研究の目的は、百寿者を支える家族による介護体験の経年的変化とその対処行動の実態を明らかにすることである。 【方法】1.調査期間:平成16年4月〜平成19年2月。 2.対象者:都内在住の百寿者を介護する家族(以下家族介護者という)と百寿者。 3.調査方法:家庭訪問によりインタビューを行った。家族介護者の健康状態に関する質問紙、Zaritによる介護負担尺度等を用いた。インタビュー内容は、介護の経過と種々の出来事への対処方法、家族介護者の生活満足度や百寿者の関係性、介護に関する今後の予測や考え等であった。百寿者の現状については、Barthal IndexとNM-Scale等を用いて情報を得た。 【結果】家族介護者は、女性17名、男性1名、平均年齢70±8.192歳であった。続柄は娘10名、息子1名、姪1名、嫁6名。介護継続期間は7.95±6.04年であった。一日の介護時間は17.34±7.70時間、Zaritによる介護負担の度合いは平均47.5であった。百寿者は女性16名、男性2名、平均年齢105±2.27歳であった。要介護度は平均4±0.273であり、NM-Scale得点76.47±42.73点であった。介護開始のきっかけには、百寿者の下肢筋力の脆弱化によるADLの低下、転倒による下肢骨折などがあった。介護が一番大変だった時期の百寿者には、食事摂取困難、肺炎、発熱などの急な状態変化があり、これらに他の家族の病気や死などの要因が同時期に生じて介護負担が増強している状況があった。介護者の殆どが百寿者の介護を「当たり前のこと」、「自然なこと」と捉えていた。長年、介護を続けるコツには、「心理的・物理的サポート」、「ストレスをためない」、「介護者の健康」、「百寿者への関わり方の大切さ」、「よい人間関係」があげられた。 【まとめ】今回の調査により、百寿者を支える家族介護者の介護の実態を知ることができた。今後は、さらに対象者数を増やし、高齢者介護の充実に寄与する。
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