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2006 年度 実績報告書

ヤシュニヤ(セルビア)聖ヨハネ修道院聖堂壁画の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16401003
研究機関岡山大学

研究代表者

鐸木 道剛  岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30135925)

研究分担者 木戸 雅子  共立女子大学, 国際文化学部, 教授 (10204934)
キーワード国際研究者交流 / セルビア / 美術史 / 中世史 / 壁画 / イコン / キリスト教 / ビザンティン帝国
研究概要

当初の計画では、平成18年度までの3年間で聖堂壁画の全体の保存修復作業が完了する予定であったが、昨年の作業の遅れにより、平成19年度に繰り越して研究を継続した。
今年度は10月に、研究代表者の鐸木道剛と研究協力者の真鍋千絵が、セルビア科学アカデミーのゴイコ・スボティチとともに現地調査を行った。
ナオス(身廊)部分の修復は終了しており、特にアプシスと穹窿部分に全く新しい構図の絵が現れてきたことによって、聖堂内部は一変していた。ナルテクスについては、なお作業は継続中であったが、壁面に上描きされてはいないので、大きく図様が変わることはない。これで1524年の聖堂壁画の全貌が最終的に明らかになった。
ナオス部分は後年上描きされていたことによって、むしろ当初の壁画はそのまま保存されたといえるのであり、16世紀初頭のセルビア聖堂壁画が見事な状態で残っている。キリストの生涯と受難を描く祭日の連作やアカチスト聖歌や洗礼者ヨハネの生涯を描く連作などの図像に工夫はなく、従来の図像を繰り返すのみで、また作品制作に画家の集中力の低下も認められるが、パレオロゴス朝末期のビザンティン絵画に見られるように、既に民俗的要素が描きこまれて始めている点が、その後のポストビザンティンの作品の先蹤と考えられる。
様式的な類似作品は定めにくいが、政治的自立を失った直後のセルビアにおける聖堂装飾活動を示す作品として、壁画全体の様式的統一と保存状態の良さゆえに今後セルビアにおいて代表的な作例として重要視されるであろう。
同時代の壁画として、オスマントルコ支配の初期の状況のなかで、セルビア人ネクタリエが1557年にポーランドのスプラシュルで描いた壁画との比較が有益である。ネクタリエが残している技法書をも参照すれば、16世紀初頭のバルカンの東方キリスト教会における聖堂装飾におけるセルビア人画家の寄与で位置づけも明らかとなる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ハンガリーのグレコ・カトリックの巡礼地マーリアポーチ2008

    • 著者名/発表者名
      鐸木道剛
    • 雑誌名

      民族芸術 24

      ページ: 49-53

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [雑誌論文] <地上の天国>としてのロシア美術2007

    • 著者名/発表者名
      鐸木道剛
    • 雑誌名

      国立国際美術館ニュース 160

      ページ: 2-3

  • [雑誌論文] イコンと現代美術2007

    • 著者名/発表者名
      鐸木道剛
    • 雑誌名

      『ロシアイコンと20世紀の作家たち』展カタログ

      ページ: 4-5

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公開日: 2010-02-01   更新日: 2016-04-21  

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