研究課題/領域番号 |
16401005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
朴 亨國 武蔵野美術大学, 造形学部, 助教授 (00350249)
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研究分担者 |
加島 勝 東京国立博物館, 事業部教育普及課, ボランティア室長 (80214295)
津田 徹英 東京文化財研究所, 美術部, 主任研究官 (00321555)
水野 さや 大東文化大学, 国際関係学部, 専任講師 (10384695)
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キーワード | 韓国 / 四仏 / 五大明王 / 四天王 / 八部衆 / 江原道 / 京畿道 / 仏教 |
研究概要 |
平成16年度から18年度の三ヶ年にわたる研究の第一年度目は、夏・秋二度の現地調査を行い、主に江原道と京畿道の博物館および寺院、寺院址に現存する作例の調査に及んだ。これまで、韓国における群像形式の仏教尊像は、国宝・宝物に指定されている一部しか報告されておらず、充分に紹介されてきたとは言い難い。例えば、韓国における四天王や八部衆像は、屋外に置かれている石塔および石灯、浮屠などに浮彫されていることなどが多いが、四体および八体すべてが報告される例は稀であり、図像の解明も進んでいないのが現状である。 今回の調査では、まず、デジタルカメラによる撮影を通して画像データとして公開することを前提に撮影に及んだ。また、国内の統一新羅および高麗、朝鮮前期の作例との様式的比較および、史料との照合により年代の判定を行った。あわせて、尊像の図像的特徴の確認に努めた。 本年度の調査の成果としては、(1)江原道仏教の中心地である五台山信仰に関する解明、(2)江原道に現存する八部衆像が華厳の枠組みの中で行われていた可能性、(3)韓国に現存する八大菩薩や八部衆、四天王などの初期作例が密集されている石窟庵の諸像に関する考察、(4)集合尊ではないが、日本独創図像とされている女神像の源流となり得る浮彫像の発見と紹介、(5)慶州南山茸長渓法堂谷寺址出土の石造如来坐像を中心とする当時の様式と図像の変遷に関しては研究考察が済んだので、学会誌などに発表(予定もある)をしており、これからも(1)韓国における五大明王の受容と変容について、(2)韓国における八部衆像の地域的変容についてなども発表する予定である。 本研究による、韓国における仏教集合尊像を通して浮かび上がる数々の問題点は、韓国国内にとどまるものではない。その解明は、韓国のみならず、中国における各尊像の形成と図像の発展、日本における図像の受容と変についても一石を投じることができると思われる。
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