実績概要 1)2006年度は朝鮮半島における近代史の展開、新聞の導入、新聞の発展、新聞人(日本人および朝鮮半島の知識人)に関する調査を集中的に行った。今年の研究は、朝鮮半島における近代新聞の歴史に関する最終段階のものとして進めた。そのため、背景資料の入手や、日本統治下東アジアのジャーナリズム状況についての研究も進めた。中国では、中国社会科学院近代史研究室図書室に所蔵されている満鉄調査部が戦前つくったとされる新聞切り抜きを閲覧、これを集中的に調査活用した。また、ここ数年間すこしずつではあるが、中国政府が進めている公文書館資料の整理作業を見守りながら、部分的な資料を入手、活用している。 2)2006年度は、朝鮮半島のジャーナリズムの研究を進めるかたわら、満鉄発行の新聞についても再検討し、論文を発表した。勿論、幅広く、植民地統治下の東アジアを捉えるため、背景資料の発掘、入手にも時間を費やした。例えば、韓国教会史文献研究院所蔵の資料を徹底的に調査、部分的資料はデジタル化も進めている。この貴重資料の整理は、小生の研究のみならず日本の近代史研究に貢献できると確信する。 3)2006年度は、満鉄の機関紙に関する論文(藤原書店の月刊誌『環』2006年12月号)、満州における朝鮮族に関する論文集(『朝鮮族グローバルな移動とネットワーク』アジア経済文化研究所、2006.5)の編纂、論文の執筆(アイデンティティに関する論文)もしたが、これら作業を通して、日本統治下東アジアのジャーナリズム研究を多角的に、その価値、異議、近代史においての位置づけなどについてじっくりと検討しなおすことができた。 4)今、すでに、朝鮮半島における日本人経営新聞の歴史の執筆に着手している。今年度中に脱稿する計画ですすめている。この執筆が終わった段階で台湾の部分(台湾における日本人経営新聞の歴史)に着手、その次の段階では、朝鮮、台湾、満州の有力紙(日本人発行の代表的な日刊紙3紙)の比較研究を進めるつもりでいる。
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