平成17年度に実施した研究は、平成16年度の継続が中心である。とくに今年度は佐々木がすでに発掘調査した遺跡出土イスラーム陶器のうち、シャルジャ国立博物館、フジェイラ国立博物館に保管されたものを重点的に研究した。研究方法は博物館倉庫内に積み上げた資料から今回の研究に使う陶器を抽出し、それらを撮影、実測、記述し、さらに関連資料について、他の博物館の調査を行った。博物館内での作業が中心となったが、新たな遺跡踏査も現地情報を得ながら実施した。9世紀から18世紀に至るイスラーム陶器の変遷資料をコンピュータ内に並べ、これまで継続してきた科学的分析や文様研究も日本国内で併せて実施した。こうした資料をもとに型式分類による第1次仮説的編年表の仮作成が進んでいる。同時に細部にわたる小さな問題点を取り上げた論文をいくつか作成した。年代研究は同時出土の中国陶磁器との比較研究に依るところが大きく、中国国内の竜泉窯跡出土品の調査も実施した。イスラーム陶器の年代と産地研究が進んでいる。欧米博物館に保管されている関連陶器資料の調査も実施した。
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