イスラーム陶器の時期別の種類分類と産地・年代に関する研究を、ペルシア湾岸・オマーン湾岸で発掘調査した遺跡出土品、ウズベキスタンとアフガニスタンの中央アジアの施釉陶器分類調査資料を核として行った。中央アジア・西アジアではイスラーム陶器が広範な地域のどの遺跡からも出土するため、遺跡の年代、居住者の性格を読み解く歴史資料として共通言語の役割を果たす。佐々木がすでに発掘調査した遺跡出土イスラーム陶器のうち、シャルジャ国立博物館、フジェイラ国立博物館に保管された資料を整理し研究資料として用い、バハレーンの国立博物館、アフガニスタンのバーミヤーン、ウズベキスタンのサマルカンドの施釉陶器を資料化した。博物館倉庫内資料から研究に使う陶器を抽出し、撮影、実測、記述した。新たな資料をコールファッカン遺跡発掘によって採集した。年代研究はイスラーム陶器の組み合わせ枠が出来ると年代提案ができるようになる。細部にわたる小さな問題点を取り上げた論文を作成し、編年表の基になる年代研究を行う。7世紀から19世紀に至るイスラーム陶器の変遷資料をコンピュータ内に並べ、これまで継続してきた科学分析や文様研究も日本国内で併せて実施した。こうした資料をもとに型式分類によるイズラーム陶器編年表を作成した。
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