研究課題/領域番号 |
16401019
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
禿 仁志 東海大学, 文学部, 教授 (10186009)
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研究分担者 |
金原 保夫 東海大学, 文学部, 教授 (20161614)
永倉 貢一 東海大学, 医学部, 講師 (80142454)
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キーワード | ブルガリア / 青銅器時代 / 集落 / トラキア人 / 地中探査 / DNA分析 / 発掘 / 地鎮祭 |
研究概要 |
1.ブルガリア共和国のトラキア平野中に位置する先史集落遺跡テル・デャドヴォに対する発掘調査は過去15回にわたって行われ、前期青銅器時代の集落構造についていくつかの新しい知見をもたらしている。しかし隣接する同時期の集落遺跡エゼロと比較するといくつかの重大な差異が存在することも事実であった。その最大のものは集落を囲む石壁(城壁)がデャドヴォでは未検出であることがあげられる。またデャドヴォで一部検出されている環濠が集落をどのように巡っているのかを確認することも課題として残されていた。このような残された課題を解決するため地中探査レーダーを使って地下に眠っている遺構の確認調査を行った。その結果環濠の推定ラインを把握し、また石壁とおぼしき石列も明らかにすることができた。次年度の発掘調査でこれらの遺構を実際に確認したい。 2.前期青銅器時代に属する住居の調査によって当該期の儀礼・祭祀に関して新しい情報が得られた。それは住居建築に先だって行われたと推測される「地鎮祭」儀礼の存在である。住居片隅に土抗を掘り、そこに壺型土器を埋納するものであり、「地鎮祭」との関連でこのような遺物出土状況が評価されるのは初めてである。現地研究者からもこのような遺物出土状況を大いに注目されている。 3.デャドヴォ遺跡の営まれた時代はバルカン半島に新しい集団が居住し新しい文化を定着させた時代で、古代ギリシアの文献に登場するトラキア人(民族)の形成期と考えられている。そこでブルガリア各地から検出された当該期の古人骨からDNAを抽出し、集団間の系統問題を探る研究を開始した。今年度は7遺跡68サンプルからミトコンドリアDNAの抽出を試みた。現在分析中であり、その成果の一部は2005年度中に発表される予定である。
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