研究課題
1.前年度に継続して、8月から9月にかけてテル・マストゥーマ周辺遺跡の地形測量及び表面採集、出土遺物の補完的な写真撮影を行った。さらに動物骨及び貝類の整理分析、放射性炭素年代測定用のサンプル採取などの現地調査を新たに実施した。またイドリブ博物館から要請があった展示ケース内の出土品展示を整備した。2.テル・マストゥーマ周辺遺跡の調査では、合計14遺跡の地形実測図を作成し、採集遺物から鉄器時代に入って集落が急増することを再確認した。3.出土遺物の写真撮影は動植物の遺存体や織物生産関連遺物を中心に行い、印章関連遺物では印影も作成した。4.これまで手つかずだった動物骨及び貝類の整理分析は、動物考古学のCarine TOMEが分析を担当し、鉄器時代のテル・マストゥーマの集落研究に再考をもたらすような知見が得られた。即ちマストゥーマは宮殿をもつような都市ではなかったが、当時の地域社会のなかで経済的・政治的な重要な役割を果たしていたことが、今回の動物骨と貝類の分析で示唆された。本研究は次年度も継続し報告書に纏めていく予定である。5.放射性炭素年代測定のための試料12点を採取し、分析を依頼した。その結果、これまでの考古学的編年からの比較年代を補強することが出来た。6.イドリブ博物館に展示してあるテル・マストゥーマ出土品にアラビア語、英語、日本語による展示解説や写真・図版パネルを加え、ビジュアルで解りやすい展示ケースに仕上げ好評を得た。研究成果を地元民に還元したことにより、シリア考古総局からも高い評価を受けた。7.研究分担者の西山伸一が毎年度末に開催される西アジア発掘調査報告会で、本年度の現地調査について動物骨・貝類の整理分析を中心にして概要発表を行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
第13回西アジア発掘調査報告会報告集(日本西アジア考古学会) 13
ページ: 103-108
オリエンテ(古代オリエント博物館) 32
ページ: 4-12
ページ: 19-28
古代オリエント博物館紀要 25
ページ: 43-56
Bulletin of the Ancient Orient Museum 25
ページ: 1-16
ページ: 87-116