研究課題
基盤研究(B)
本研究は、1995-2001年にロシアの6ヶ所の博物館において実施したアイヌ物質文化調査に基づく発展的研究である。特に、サハリンアイヌ文化については、アムールランド、すなわち、サハリン・アムール川流域、の諸民族文化を考慮に入れなければ、理解しがたいことがいっそう明らかになった。本調査ではアイヌ文化とのかかわりを解明することを究極の目的とし、a)アムールランドでの現地調査、b)現地の先住民自身との共同研究、c)ロシアおよび西欧の博物館所蔵のアムールランド関係資料の状況調査を目標として、次のような調査研究を行った。1.基本的に、ロシア極東、アムール川下流のブラーヴァ村(ウリチ)、中流のナイヒン村(ナーナイ)、コンドン村(ナーナイ)において言語学、生態学、民族学的な調査を行った。加えて、ナイヒン村及び沿海州のクラースヌィ・ヤル村(ウデゲ)において言語学的な調査を繰返し行った。2.平成17年3月にはアムール現地の博物館関係者と共にペテルブルグの「ロシア民族学博物館」などにおいて先住民文化の資料を共同調査した。現状における先住民文化研究にとって、この試みは有益であった。3.オランダ、ドイツ、デンマークの民族学博物館において、アムールランド関連の所蔵資料の調査を行った。しかしながら、各博物館における専門家の不在のために、ヨーロッパにおけるアムールランド研究はほとんど停滞していることが判明した。4.アイヌ文化とのかかわりで、具体的に魚皮衣について調査研究を試み、各地の博物館、資料館においてサンプルを実見した。これは今後の研究に新たな糸口となろう。5.具体的な成果として、ウリチ語、ナーナイ語、ウデゲ語の言語学・ナーナイの口承文芸関係の出版を行った。また、現地の版画家との共同によりウリチ語・ロシア語による説話集を刊行した。これは「消滅の危機」状況にある先住民の言語状況を勘案してのことである。
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