研究概要 |
本研究最終年である平成18年度は、これまでの調査結果の検証および成果報告作成の刊行を行った。まず、平成18年7月13日にはスリランカから2名(タミル、モスリム)の研究協力者および在日のスリランカ研究者1名、研究分担者、その他外務省および国際協力銀行からの参加者によるワークショップを開催(於:一橋大学、非公開)し、スリランカ情勢分析および今後の課題について議論を行った。翌14日は明石康日本政府代表を迎え、同メンバーよる国際シンポジウム「スリランカ和平構築の現在と展望」(於:国際交流基金国際会議室、国際交流基金共催、)を開催し、約120名の参加を得た。 中村尚司(研究分担者)は、8月下旬にスリランカにおいて、北部への主要幹線道路の閉鎖がもたらす経済的・社会的影響および対策について政府主要関連機関および在スリランカ諸外国関係機関、知識人、政治家等を対象に調査を行った。足羽與志子(研究代表者)は12月上旬にスリランカにおいて、東部の都市バティカロアと周辺地域において津波被害の復旧状態、新難民の生活状況、ローカルリーダーの平和意識等の調査を行った。イースタン大学では創立25周年記念国際シンポジウム「過去の再考と未来の再構築」での基調講演を行い本研究成果の一部を報告し、ペラデニア大学で開催した東部・北部大学コンソーシアム設立のためのワークショップにおいて本研究の目的と経過、意義について報告を行った。またコロンボ近郊で平成17年度に行った平和意識調査の統計結果の集約を行った。 本研究の調査結果について、共同研究者とスリランカ研究協力者によるワークショップおよび調査報告書の編集・出版を年度内に行う予定だったが、平成18年8月から政府軍とLTTEの戦闘が展開され、北部への主要幹線道路の閉鎖や東部での断続的戦闘のため、政情不安が増加し、やむをえず調査方法および調査報告書作成の準備うち合わせの調整が必要となった。そのため刊行の年度内の実施が困難となり、実施未了の部分は平成19年度への調査繰り越しを申請し、受理された。 その後、調査結果の史料編纂作業を進めながら、本研究実施の3年間の研究協力者および足羽、中村のあいだで数度のうち合わせをインターネット等で行った。そのうちから7名の論文執筆者を選び、英文による完成原稿は執筆者の間で関係者が相互に読み合わせおよび批評を行ったのち、報告書は"Search for Peace in Sri Lanka:: Complexities of Culture, Politics and Society" ed. by Yoshiko Ashiwa, Center for the Study of Peace and Reconciliation, Graduate School for Social Sciences, Hitotsubashi Univeristy, September 2007.として印刷出版を行った。
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