研究課題/領域番号 |
16401030
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷 正和 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (60281549)
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研究分担者 |
田上 健一 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50284956)
小林 正史 北陸学院短期大学, 教授 (50225538)
入谷 貴夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (30211759)
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キーワード | 地下水砒素汚染 / 慢性砒素中毒 / バングラデシュ / ネパール / 集合行為 / 世帯経済 / カースト |
研究概要 |
前年度までの研究で代替水源の持続的活用にかかわる社会的要因としてソーシャル・キャピタルが重要な役割を果たしていることが明らかになった。本年度はその研究成果を受けて、バングラデシュ・ジョソール県シャシャ郡のA村を新たなフィールドとして、代替水源の設置の際の住民参加と受益者管理にどのようなソーシャル・キャピタルが作用としているかを明らかにする目的で9月に調査を行なった。その結果、この対象地では、これまでの調査対象村では見られなかったキリスト教系のNGOが組織した住民組織が、共同行動の核になっていることが分かった。この住民組織は相互扶助的な性格が強く、日常の活動を通して、住民間のコミュニケーションを促進し、その結果としてソーシャル・キャピタルの重要な要素である信頼が醸成されていることが、集合行為に良い影響を与えていると判断できた。 次に、途上国の住民が砒素被害を受ける際の社会経済的要素の影響を明らかにするため、12月にネパール国ルンビニ県ナワルパラシ郡P村で調査を行った。この調査では、前回の調査以降建設された代替水源・家庭用酢素除去フィルターの利用状況の調査、各世帯の経済ランクを土地所有、その他の収入源をもとに評価を行った。その結果、家庭用フィルターが盛んに利用されている一方、代替水源の利用は減少していた。フィルターでろ過された水の砒素濃度測定は安全な水準ではなかった。また、社会経済的分析では、砒素被害は低収入層により多く発現し、上位カースト間では差がないものの、カースト最下部の不可触層はほかのグループと比べて健康被害が多く発生していることが分かった。
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