研究課題
本年度は、アディスアベバでのウェイト川流域における綿花プランテーション経営についての資料の収集、およびウェイトでのプランテーションのフィールドワークによるデータの収集を行なった。アディスアベバでは、エチオピア農業省において、エチオピアの綿花生産状況に関する数値データと、綿花生産の沿革についての資料を収集した。エチオピアの綿花生産は、国営の大規模プランテーション、私営の大規模プランテーション、そして小農による小規模綿花栽培の三つのタイプに分類される。そのうち生産量の多いのは前二者だが、近年国営のプランテーションから私営のプランテーションへの転換が進行している。本研究があつかっているウェイト川のプランテーションは、私営プランテーション経営のモデルとして、国内でも大きな注目を集め、「開発」のモデル・ケースとされたものであることがわかった。またエチオピア商業銀行では、融資側の視点から、プランテーションの経営について聞き取りを行なった。このプランテーションの前経営者が破産をしたのは、プランテーションのインフラ整備に多額の資金を投入したのみならず、道路建設など通常は国家が負担すべきインフラ整備も自力で行なおうとしたためであることが明らかになった。国家とプランテーションの前経営者の関係には、一方では「開発」のモデルとして利用される一方で、インフラ整備を通した経済的な支援が欠如したものであったことが明らかになった。プランテーションでは、プランテーションの農事暦、必要な経営コスト等の資料を入手した。また南部高地ワライタ出身の季節労働者たちにインタビューを行なった。ワライタでは人口過剰のために耕作地の面積が少なくなり、多くの労働者が、綿花プランテーションの季節労働者として国内のプランテーションを周遊している。ウェイト川のプランテーションで働くことは、国内のその他のプランテーションにおける労働や、入隊して戦地に赴くといういくつかの選択肢のうちのひとつであることが明らかになった。
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ジェンダー人類学を読む(宇田川妙子・中谷文美編)(世界思想社)
ページ: 260-288
"The Perils of Face : Essays on cultural contact, respect and self-esteem in southern Ethiopia" Mainzer Beitrage zur Afrika-Forschung 10,Berlin : Lit Verag(Ivon Strecker and Jean Lydall(eds))
ページ: 185-206