研究概要 |
平成16年度の本研究の現地調査は,マレーシア半島部ジョホール州SELAT TEBRA,ボルネオ島サバ州を対象として実施した。現在,国家森林プロジェクトを基礎とする持続可能な森林経営の実際に機能する社会的・政治的枠組みを構築するために現地調査・資料収集を実施した。 海外共同研究者James M.Alinは,今年度の研究目的である国家森林プロジェクトの基礎的データ作成のために,ジョホール州の各政府関係機関から主に,森林,土地利用についての資料収集をした。 また,2000年度サバ州キナルート・エコパークでマングローブ林の植林を実施している。今年度継続してモニタリング調査を実施した。 下渡・ロイは,サバ州コタキナバル,ジョホール州の農村開発の状態について現地調査を行った。 また,今年度の研究からこのサバ州の豊かな生物多様性を維持しているこの熱帯林は,近年のプランテーションや他の土地利用への転換により減少している。マレーシア全体での残存森林率が63%であるのに対して,東マレーシアのサバ州は51%とマレーシア連邦を構成する主要な3地域(半島部、サラワク州、サバ州)の中で最も低い数値を示している。加えて,州面積に対するサバ州の保護区面積率(国立公園と野生生物保護区)は5.2%とマレーシア半島部(5.6%)と比較して低くなっている。 今年度調査から,環境関係機関同士の連絡や調整が欠落しているため,効率が低く経験・知識,研究成果が分散している。そのためマレーシアの生物多様性を含めた環境保全という目標に向かって複数機関の活動を統合する必要性が求められる。
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