国内で行われた国際シンポジウム等に参加し、インタビュー等をとおして、バイオテクノロジー関連発明の分野における物の発明と方法の発明の区別、欧州特許法およびコモンウェルスの特許法とわが国特許法の比較の視点、バイオテクノロジー関連特許の倫理的側面について、一定の知見を得た。また、本研究課題は、経営、法律、医療、科学技術、政治経済学に関わる学際分野であり、かつ、特許法の諸制度、法理論上の多くの問題と関わっている。そこで、これらの多角的な観点から、アメリカ(ハーバード大学ロースクール、同医学部、カリフォルニア大学サンフランシスコ校メディカルセンター)、イギリス(シェフィールド大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学)、ドイツ(ミュンヘン大学、マックスプランク知的財産法研究所)での海外における文献収集、インタビュー等の調査を通じて、医療方法の特許、バイオテクノロジー関連発明特許を認めるメリット、デメリットを洗い出した。今後の課題としては、分析を加える観点を、特許制度が財産的情報を保護しているという視点に焦点をあてた上で、医療方法の特許の保護を検討し、その基礎をささえるクレーム解釈、強制実施権、ソフトウェア関連発明、データベースの法的保護について研究を進める。同時に、再生医療等、バイオテクノロジー技術に関連する最先端医療についても個別実態調査を行い、各論の研究も進め、上述の法制度に関する研究との関連づけを図る予定である。
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