本研究の目的は、フィジーの伝統的農漁村において世帯・共同体調査を実施し、共同体をベースとした社会ネットワーク(特に村と血縁関係)の様々な役割について検証することである。平成15年度に第一回調査データを、平成17年度に第二回調査データを収集した。今年度は以下の研究を実施した。 1.第二回調査フォローアップ〜平成17年度に実施した第二回本調査に関して、現地でのフォローアップ作業(特にデータ校正のための補足作業ならびに関係者とのミーティング)を行った。 2.第二回データ構成〜第二回本調査のデータ入力、校正作業をほぼ完了した。現地調査協力者の異動ならびに転居という不測の事態により、作業工程に大幅な遅れが生じたため、当初予定していたデータ分析は平成19年度に延期された。 3.論文作成〜平成15年度に収集した第一回調査データを用いて、サイクロンとの被害に対する伝統手芸業における住民の反応とそのジェンダーとの関係を分析した。これまで注目されたことがなかった伝統手芸の持つ保険機能に関して新たな知見が得られ、成果を環境経済学世界大会において発表した。また、緊急食糧援助におけるターゲッティング、緊急食糧援助とリスクシェアリングとの関係、血縁関係とリスクシェアリングネットワークとの関連、住宅災害ならびに公的救済とリスクシェアリングとの関係に関するデータ分析を実施した。また、これらの分析のために、関連する文献調査を広範囲に実施した。
|