研究課題/領域番号 |
16402016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | プール学院大学 |
研究代表者 |
井上 義祐 プール学院大学, 国際学部, 学長 (40193619)
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研究分担者 |
上田 修 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (30160162)
李 捷生 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (50255634)
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キーワード | 技術移転 / 鉄鋼業 / 造船業 / 重工業 / 生産管理 / 新日鐵 / 浦項製鉄 / 現代造船 |
研究概要 |
4年計画の初年度に当たる今年度は、韓国重工業への技術移転問題に焦点をあてた。 この問題を調査研究するために、予備的作業として次の調査をおこなった。鉄鋼業における技術移転の問題を明らかにするため、(1)新日鐵から浦項製鉄に対する技術協力を担当した技術者に対する聞き取り調査ならびに(2)浦項製鉄、とりわけ光陽製鉄所建設に際して主モデルとなった大分製鉄所の工場見学を実施し、同製鉄所の生産管理ならびに技術レベルについての調査、である。 この作業と並行して、韓国鉄鋼業ならびに同造船業の調査を二次にわたりおこなった。まず、第一次調査については、浦項製鉄の工場見学を実施するとともに、技術導入に際して何が障害となったのか等について、関係者から聞き取りをおこなった。第二次調査では、鉄鋼業関連で、かって関連研究されていた研究者を韓国聖公会大学校に訪ね、聞き取り調査と共に十点以上の貴重な韓国側から見た生産技術・管理面の移転関連研究資料の情報を入手でき短期間で予想以上の成果が得られた。造船業関連では、現代造船の工場見学を実施するとともに、IT関係の下請け・関連企業を中心として聞き取りをおこなうことで、韓国造船業の生産管理のレベルについて調査した。 以上の作業から、(1)鉄鋼業の技術移転については、新日鐵の技術移転協力に関する方針を超えた形で、韓国サイドが生産技術と生産管理思想のエッセンスを咀嚼吸収して、まず、それらを浦項製鉄所建設の短期間実現で体得し、その経験を活かし独特のものとしての光陽製鉄所の建設ならびに生産管理がおこなわれていること。(2)造船業については、日本からの技術移転問題についての調査は十分におこなえなかったが、他面、現段階でのITによる生産管理のレベルについて調べることができ、そこではいわゆるJIT生産方式にならった生産管理が実施されるとともに、大型ブロックの製造をはじめとする大規模な分業体制-下請け企業の利用-が敷かれていることが明らかになった。さらに、(3)両産業に共通することして、日本のそれとおなじく、現業労働者が高齢化し、後継者教育に困難を来していること。これらの点が判明した。
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