研究課題
基盤研究(B)
本研究の第一の価値は、アメリカ合衆国での1年間の滞在による集中的な情報収集・分析と複数の地点における多様な社会的フィールドワークを通じて、転換期にある合衆国の移民政策を、合衆国の激しく揺れ動く状況の中から徹底して内在的に理解することに努めたことにある。本研究の第二の価値は、移民政策に関して、政策立案者、政策執行者、経済利害団体、移民集団といった特定の視点を超えて、それぞれの論理を多元的に析出したことだ。この結果、単なる上からの政策論でも、下からの運動論でもない立体的な構図が浮かび上がってきた。その一つは、移民規制機関である本土安全保障省の形成が、政策立案者の意図を超えて、自律的な法執行の動きを開始することであり、このことが特定集団へのインパクトを生み出す点だ。本研究の第三の価値は、NY市、同市郊外諸地域、中西部農村地帯、そしてカリフォルニア州の建設業といった形で、多様な地域特性を視野に入れて、その地域構造がどのように移民政策の実際に影響を与え、同時に地域ごとに異なる移民集団の反応が発生するかという、連邦レベルの移民政策の社会的影響の地域間比較研究を実施した点だ。このことを通して、移民政策が地域的な文脈によって連邦政府からの介入が直裁に出る場合と、それが地域的力関係によって大きく変形する場合があることを示せた。最後に、これらの分析を通して、移民政策過程が、単なる利害団体政治でも、あるいは新しい監視社会型の変容した国家権力による操作でもなく、新しい組織構造と常に変動しつつある各地のエスニック構成や経済構造との相互作用の中で、ダイナミックに展開しあるいは編み出されることが示すことが出来た。
すべて 2007 2005
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Watado, Ichiro. Eriko Suzuki. Eds. Special Residance Permit and Japanese Immigration Policy. Akishi Books.
ページ: 50-66
社会学評論 56・2
ページ: 381-399
Japanese Sociological Review.(Japan Sociological Society.) Vol.56. No.2