研究課題
今年度はまず、理論を担当している友枝敏雄教授の「共生の社会理論」について、研究グループ内で議論を深め公共性の理論について共通の理解を得ることに努めた。そこでの議論を踏まえて、イギリス、アメリカ、中国、日本における調査研究を進めた。とくに今年度の調査の力点は、各研究者が自分の担当地域とは逆の地域を、つまり中国の担当者はイギリスの公共性を、イギリスの研究者は中国での公共性の調査を経験することに置かれた。このため調査に当たっては、本来の担当者が入念に調査の手配に当たった。イギリスでは、ケンブリッジ大学の研究者と中国では、南京大学の研究者の協力を得て、資料収集とヒアリングを行なった。とくにロンドンでは田中重好教授が街並みの調査を、上海では中西典子助教授が福祉施設の調査を重点的に行なった。また、石井秀夫助教授は上海、北京、西安で道路交通の調査を行なった。中国の道路交通は国際的に見て独自の交通ルールを発達させている点で、きわめて興味深い調査結果を得た。藤田弘夫は研究統括者として、イギリスと中国の両方の調査に参加した。このクロス調査のなかで、イギリスでは政府の活動が公共性{public}の概念のもとに制約されるなど、中国や日本の公共性の概念では、考えられない事例を多数発見するなど、本研究が課題としている公共性の概念の3ヵ国に世違いを探る糸口を確信した。来年度はこの点を突破口として、さらに調査を続けたいと考えている。
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共生社会学 5
ページ: 17-38
哲学 114号
ページ: 5-37
ページ: 215-239
東北社会学年報 34
ページ: 1-30
名古屋大学社会学論集 26
ページ: 25-39
愛媛大学地域創成研究センター
ページ: 66-79