たとえば、中国社会学会第17回全国大会で"Two Types of Urban Hew Middle Classes in Confucian Asia?"と題する発表をし、東北大学の不平等研究拠点が主催したシンポジウムでは"Social Inequality and Injustice in Developing China:Some Empirical Observations"と題する発表を行った。前者の報告の際には、李培林(中国社会科学院)や李春玲(中国社会科学院)など、現代中国の階層問題を議論する際に無視できない論客が集まり、後者の報告の際には、David Grusky(スタンフォード大学)やMary Brinton(ハーヴァード大学)など、アメリカを代表する階層研究者も参加し、有意義な意見交換を行うことができた。 また、海外共同研究者の蕭新煌が、本プロジェクトの生産性の高さに触発されたのか、2007年度から台湾・中央研究院の中に「中華圏の中産階級比較研究」プロジェクトを立ち上げ、研究代表者もこれに参加するようになった。 最終年度にあたる平成19年度は、従来の研究成果を取りまとめ、対外的な発信を行うことに最大のエネルギーを払った。 また、11月2日には、中国の4都市で調査を担当した海外共同研究者4名を招聘し、早稲田大学現代中国研究所と共催で国際シンポジウム「中国の階層変動と都市ガバナンス」を開催、日本の中国研究者も含めて討論を行った。 2006年度から始まった中国人階層研究者との連続対談シリーズは7回続き、最後に李培林との対談をもって完結したが、その内容がきわめて興味深いものと判断され、2008年に岩波書店から単行本として刊行される予定になっている。中公新書の原稿も書き進み、2008年には中国の階層・不平等関係の本が2冊、出版される見込みが立った。
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