研究課題/領域番号 |
16402036
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
作道 信介 弘前大学, 人文学部, 教授 (50187077)
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研究分担者 |
北村 光二 岡山大学, 文学部, 教授 (20161490)
太田 至 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (60191938)
曽我 亨 弘前大学, 人文学部, 助教授 (00263062)
辻本 匡弘 東北大学, 大学院・文学研究科, 講師 (90347972)
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キーワード | トゥルカナ / 社会変動 / 難民キャンプ / 病気対処 / 消化器疾患 / 精神障害 / 食生活 / 異文化交流 |
研究概要 |
1.平成18年度では、作道がトゥルカナの病気対処についての調査をカクマ周辺で実施した。これまでに得られたデータと比較的新しく流入した病気治療とを対比させることで、病気対処の特色が明らかになってきた。干ばつ以後、難民キャンプの設置後に、多くの治療者が流入し、精神疾患や腸の障害に対応してきた。当地では、キャンプ以後、病気が増えたという認識があるが、これは病気をうけもつ治療者が増えたことにもよる。それは1)「糞肛門」と呼ばれる食生活の変化が原因とされる腸を中心とした全身の病気、2)「ジョック」「マリーン」「ロパリアン」「ケレレワン」と呼ばれる行動異常や記銘障害、幻覚・幻聴、情意減弱を症状とする精神障害に端的に表れている。1)については、カクマ周辺の治療者がウガンダ国境や山地部(とくにジエ民族)からの流入者であることがわかっている。また、病者が最初にうけたマッサージ(ファースト・コンタクト)を訪ねた調査でも、ジエ地域との関わりが示唆されている。2)については、カラモジョン地域からの流入者やその親族によって営まれている。彼らは干ばつ以後、配給を求めて、あるいは難民キャンプによる顧客の増加を見込んで、移動してきた人びとである。これらの知見は1)カクマ地域における食料援助の歴史と実態、2)食生活の変化による健康状態への影響の把握、3)ジエ、カラモジョンをふくんだ広域調査の必要性、といった拡大調査の必要性を示している。 2.平成17(2005)年に生じた難民との衝突によって、難民と地元トゥルカナの人びとの関係は疎遠になっているようである。また、キャンプ周辺の伐採制限により薪をキャンプで売ることにも限界がある。これまで市場への依存を深めてきた地元民の窮乏が促進されるおそれがある。2006年からはマイクロキャッチメントによる援助が試験的に実施された。今後の可能性をみる必要がある。
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