研究概要 |
平成16年度はイギリスにおいて災害救援組織(消防、警察、海軍)の惨事ストレスケアシステムの調査を行ったが、平成17年度は同種の調査をオーストラリアとニュージーランドで実施した。調査は、クイーンズランド州の救急組織に対する惨事ストレス対策の責任者(Paul Scully)と協力者、オーストラリア惨事ストレスマネージメント財団の責任者(Robyn Robinson)とストレスケアに携わっているチームメンバー、ニュージーランドにおける消防組織のピアサポートシステムの臨床的責任者(Julie Maher)とピアサポーターに対して実施された。面接及び頂いた資料に基づき、3カ国の災害救援者に対する惨事ストレスケアシステムのあり方をまとめた。 災害救援者の中で、消防職員に対する惨事ストレスケアは、一対一(one to one)介入とグループミーティング(defusing, debriefing)が中心であった。グループミーティングは、実施時点が遅く、7段階に分離せず、フォローアップをするための記録を採るなどのさまざまな点で、Mitchell, J.F.の惨事ストレスデブリーフィングとは異なっていた。調査結果を踏まえ、惨事ストレスケアのあり方に関する提言がまとめられた。 本研究の成果は、昨年度調査分は横浜国立大学大学院教育学研究科教育相談・支援総合センター紀要において公刊され、今年度調査分は日本トラウマティックストレス学会大会で発表された後(2006年3月10日予定)、主要な調査結果を報告書にまとめて関係機関に送付する予定である。
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