研究概要 |
平成16年7月26日〜8月14日に小嶋と永広が,同年7月26日〜8月6日に大谷が,インド,ラダックヒマラヤにおいて地質調査を行った.本年度は3年計画の初年度にあたるため,広い範囲を概査することとし,レー,フンダル,シュヨク,シェルゴールの4地域で調査を行った,得られた成果は以下の通りである. 1)シュヨク地域のシュヨク縫合帯を構成する陸棚相石灰質泥岩層よりジュラ紀中期Callovianのアンモナイト(Macrocephalites sp.)を発見した.これまでシュヨク縫合帯からの年代決定に有効な化石の報告はほとんどなく,今回の発見はシュヨク縫合帯形成史に重要な制約を与える. 2)これまでの研究によって,インダス縫合帯,シュヨク縫合帯のオフィオライトメランジュと記載された地質体の大部分は,超塩基性岩と整然とした陸棚相堆積岩層のシートが繰り返し露出するものであり,露頭規模でblock-in-matrix組織を示す地質体はほとんどない. 3)ラダック深成岩類はシュヨク縫合帯を構成する堆積岩類に貫入しており,上記アンモナイトの年代を考慮して,ジュラ紀中期以降の岩体である.また,フンダル地域に見られる深成岩体は,野外で観察される貫入関係より,いくつかのステージの深成岩体からなる複合深成岩体であることが明らかとなった. 4)カラコルム断層沿いには,様々な程度に変形した,花崗岩質岩石を原岩とするマイロナイト類がみられ,全て右横ずれ変位を示す.これは,第四紀におけるカラコルム断層の変位センスと整合的である.
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