研究概要 |
平成18年8月22日〜9月9日に小嶋,大谷,板谷,永広および研究協力者のThanh,高が,インド,ラダックヒマラヤにおいて地質調査を行った.本年度は3年計画の最終年度にあたり,平成16〜17年度の調査結果を踏まえ,調査地域をサマール,レー,タンツェ周辺の3箇所に絞って調査した.また,帰国後は室内作業を行っている.得られた成果は以下の通りである. 1.平成16年度の調査でジュラ紀アンモナイトと白亜紀有孔虫を発見した,シュヨク地域のシュヨク縫合帯を構成する陸棚相石灰質泥岩層の追加調査および化石採取を行った.なお,発見した化石については学術雑誌に発表した. 2.平成17年度の調査で,インダス縫合帯沿いに分布する第三紀のヘミス礫岩のチャート礫より,白亜紀前期の放散虫化石に加えて,三畳紀後期およびジュラ紀中期の放散虫化石を発見した.平成18年度にはチャート礫約200個を追加採取した.現在,チャート礫をフッ酸処理し化石を抽出中である. 3.平成17年度にフンダル地域から採取した花崗岩から斑レイ岩にいたる様々な岩相のラダック深成岩類の放射年代を測定した.その結果,フンダル地域に分布する深成岩類は,ラダック花崗岩本体よりやや古い年代を持つことが明らかとなった. 4.サマール地域のカラコルム断層沿いに分布する花崗岩マイロナイトの解析より,高温低歪領域の活動花崗岩脈の貫入,低温高歪領域の活動の順に断層活動が変化したことが明らかとなった. 以上の成果の一部は,2006年5月に幕張で開催された地球惑星科学連合2006年大会,2006年7月に神戸で開催された国際鉱物学連合第19回総会,2006年9月に高知で開催された日本地質学会年会,2006年11月にフィリピンで開催されたIGCP516国際シンポジウムで報告した.
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