研究課題
基盤研究(B)
オフィオライトの性質の地球史における変遷を明らかにするために、原生代のオフィオライトとしては、保存が例外的によいとされているボウ・アゼールオフィオライト(モロッコ)の調査と岩石学的性質の解明を行った。同オフィオライトは、マントル部分の保存が特によいことから、今年は、特にマントル〜モホ遷移帯部分(ワジ・アイホタメン沿い)の調査に力点を置いた。その結果、以下のことが判明した。(1)上部マントルは、ほとんどの部分が枯渇度の高いハルツバーガイトよりなっている。ダナイトも少最存在するが、すべてがハルツバーガイトの変形構造と調和的であった。パイロクシナイトはすべてが非調和的であった。(2)少量のクロミタイトが遷移帯直下の上部マントルに存在する。すべてが調和的であり、ダナイトに囲まれる。(3)モホ遷移帯は、著しい蛇紋岩化のために岩相の識別が困難ではあるが、ダナイト、ウェールライト、パイロクシナイトが卓越する。(4)後期貫入岩体と思われるウェールライトがガブロ中に貫入している。(5)蛇紋岩化の著しいハルツバーガイト中に、顕著な磁鉄鉱の脈(産状により二種類が識別される)が多産する。現在、詳しい解析が進行中であるが、クロミタイトに関しては、Pt、Pdに比べてIr、Osが濃集しており、典型的なマントル中のクロミタイトの地球化学的特徴を有する事がわかった。また、磁鉄鉱脈は、逆にIr、Osに比べてPt、Pdに富んでおり、熱水起源であることを示唆している。また、磁鉄鉱脈中に今まで未報告のMnに著しく富むクロマイトが発見された。これらに関しては、投稿論文を執筆中である。さらに、来年度アガディール(モロッコ)で開催されるアフリカの地質に関する国際会議に論文を発表すべく準備をしている。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of Petrology 45
ページ: 369-389
ページ: 235-252
Earth and Planetary Science Letters 217
ページ: 245-261
The Island Arc 18
ページ: 119-127
Contributions to Mineralogy and Petrology 147
ページ: 145-154
Chemical Geology 207
ページ: 237-259