研究課題/領域番号 |
16403010
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
荒井 章司 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20107684)
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研究分担者 |
石渡 明 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (90184572)
宮下 純夫 新潟大学, 理学部, 教授 (60200169)
森下 知晃 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (80334746)
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キーワード | オフィオライト / 原生代 / モロッコ / ハルツバーガイト / 磁鉄鉱 / Mnに富むスピネル / モホ遷移帯 / 蛇紋岩化 |
研究概要 |
オフィオライトの性質の地球史における変遷を明らかにするために、原生代のオフィオライトとしては、保存が例外的によいとされているボウ・アゼールオフィオライト(モロッコ)の調査と岩石学的性質の解明を行った。同オフィオライトの特性、特に顕生代オフィオライトとの違いを明らかにするために、今年は、特にマントル〜モホ遷移帯部分(ワジ・アイテヘメン沿い)の調査および、アガディール大学(モロッコ)のMoha Ikenne教授の協力を得て噴出岩および後期貫入性のダイオライトの調査に力点を置いた。また、16、17年度の岩石試料を解析した。その結果、以下のことが判明した。 1.ガブロ中に貫入するウェールライト(マントル岩石より明らかに非変質)岩体を発見した。これは顕生代オフィオライトとの共通性であり、現在詳しい岩石学的性質を検討中である。 2.後期貫入性のダイオライト(文献によると一部はアダカイト質)を調査し、オマーンオフィオライトのウェールライトに相当する分布を確認した。原生代オフィオライトの特徴である可能性がある。 3.昨年度に発見した蛇紋岩中の磁鉄鉱脈の普遍性を発見した。鉄はかんらん石の蛇紋石化の際に放出されたものであろう。磁鉄鉱としての濃集は、蛇紋岩化の際の鉄の移動性を示すものである。おそらく、磁鉄鉱脈の形成は水/岩石化が高い場合のみ実現されるのではないかということが示唆される。 4.ハルツバーガイト中のクロムスピネルに鉄とともに著しいMnの濃集が確認された。それとともにZn、Co、Niも相当量濃集し、(3)の鉄と同様にかんらん石の変質の際に放出されるものである。 現在、その他の点においても詳しい解析が進行中である。上記の(3)(4)に関しては既に論文原稿を投稿中である。来年度は2年間の調査で得られた試料を更に詳しく解析する予定である。
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