研究概要 |
2003年9月2日〜2004年7月3日の期間の中国北京市清華大学構内におけるPM10(粒径10μm以下の大気粉塵)質量濃度平均値は145.3±91.0μg/m^3(n=289)であり、これは横浜市に比べて約5倍、アテネの約2倍、さらにカルガリーの約6倍であった。中国北京市清華大学構内における大気粉塵中微量金属15種(Al,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,As,Se,Cd,Sb,Pb)の合計濃度は15.1±10.2μg/m^3(n=287)となった。これは川崎市の約8倍、マドリードの約4.5倍にあたる。以上のように中国北京市清華大学構内においては、PM10質量濃度及び大気粉塵中微量化学成分濃度ともに世界各都市と比較して2〜8倍程度高濃度となっており、大気粉塵による汚染が非常に深刻になっている事がわかった。 次に、中国北京市における新たな大気観測地点として、清華大学から東に5kmの地点にある中国科学院の屋上に観測機材を設置し、大気観測を開始した。中国科学院は片側三車線の道路に面しており、また隣接した土地では建造物の建築が行われている。分析の結果、中国科学院屋上での大気粉塵中微量金属濃度はほとんどの金属について清華大学構内よりも濃度が高くなった。特にZnやCdについては約1.7倍の高濃度となった。水溶性イオン成分に関しては、中国科学院屋上の方が清華大学構内に比べ約2倍高濃度であった。特に、NO_3^-は約3倍高くなっており、自動車排気の影響をより強く受けている可能性がある。
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