研究概要 |
東シベリア地域イルクーツク市近郊にのサンプリング地点において、10ライングローバルサンプラー(GS10-GP)により、暖候期に大気汚染物質(二酸化硫黄、エアロゾル)を高時間分解能(1日単位)の連続大気汚染物質捕集により測定し、その局地的な大気環境インパクトを求めると同時に、バックトラジェクトリー計算による解析により越境大気汚染として日本に及ぼす影響を明らかにする事を目的としている。 ロシア連邦科学アカデミーシベリア支所、湖沼学研究所との研究打ち合わせを行い役割分担を決めた。連続大気汚染物質捕集用の備品(10点グローバルサンプラー(GS10-GP)1台の購入を行い、イルクーツク市(ロシア)湖沼学研究所への運送手続きを行った。1日単位のサンプリングは7本のフィルターホルダーを設置して1日毎に流路が切り替わる方式を採るので、研究所から1時間程度のアクセスでなければ観測が出来ない。そのために、湖沼学研究所がイルクーツク市近郊に新たなサンプリング地点を探した。8月上旬に国立環境研究所:村野、日本環境衛生センター・酸性雨研究センター:大泉の両者が訪露して、サンプリング装置の設置を行った。SO2,HNO3,NH3等のガス状物質並びに粒子状物質はフィルターパック法(テフロンろ紙、ナイロンろ紙、アルカリ含浸ろ紙を順に装着した4段ろ紙法)で採取する。 8月中旬からサンプリングを開始した。湖沼額研究所の職員が毎週1回サンプリング地点を訪れた。10月末にサンプリングが終了した。フィルターの化学分析結果によると9月2日にエアロゾル中のイオン種濃度がピークを示した。硫酸イオン、炭酸イオンとも最高濃度を示した。但し、カルシウム濃度が高かったので、森林火災によるものとは考えられなかった。今後、バックトラジェクトリー計算により解析を進める予定である。
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