研究概要 |
東シベリア地域イルクーツク市近郊のサンプリング地点において,10ライングローバルサンプラー(GS10-GP)により,暖候期に大気汚染物質(二酸化硫黄,エアロゾル)を高時間分解能(1日単位)の連続大気汚染物質捕集により測定し,その局地的な大気環境インパクトを求めると同時に,バックトラジェクトリー計算による解析により越境大気汚染として日本に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,本年度もロシア連邦科学アカデミーシベリア支所,湖沼学研究所が大気汚染物質のサンプリングを行い,化学分析も終了した。サンプラーの破損により,当初希望する期間の観測は行えなかった。観測期間内では硫酸塩の高濃度は観測されなかった。 9月中旬に日本環境衛生センター:酸性雨研究センター:家合が別予算で訪露して,研究打ち合わせを行った。 前年度の「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」による二酸化硫黄の濃度測定をロシアからの移流の可能性があるサンプリング地点(利尻,竜飛岬,佐渡関岬)に関して解析した。4月に6ppbvを越える高濃度が,佐渡関岬のみで観測されたが以降は6月いっぱいまで低濃度であった。7〜9月は3地点とも二酸化硫黄濃度は低かった。12月から3地点に共通する高濃度現象が観測された。1〜3月にもスパイク状の高濃度が観測され,5ppbvを越えることが3回あった。米国NOAAの後方流跡線計算結果によると12月22,23日は一部ロシア上空を気塊が横切っていたが,森林火災の影響かどうかは明らかではなかった。
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