研究課題/領域番号 |
16404008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
黒田 智明 立教大学, 理学部, 教授 (40158887)
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研究分担者 |
花井 亮 立教大学, 理学部, 助教授 (30287916)
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 助教授 (80222074)
通 元夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90163956)
宗野 真和 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (10221342)
永野 肇 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (10114919)
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キーワード | Ligularia / 雲南省 / 多様性 / フラノエレモフィラン / atpB-rbcL間遺伝子 / 国際研究者交流 / 中国 |
研究概要 |
2004年8月に雲南省迪慶チベット族自治州中甸県および麗江郡寧浪県濾沽湖地区にて分布調査を行った。その結果、16種のLigulariaと2種のCremanthodiumを得た。これらの根のエタノール抽出液について、TLC上でエーリッヒ試験を行った。また、atpB-rbcL間の非コード領域約740塩基の配列を決定することにより遺伝子解析を行った。さらに一部の試料について成分研究を詳細に行った。比較のため、3種の日本産Ligulariaを四国剣山と長野県にて得た。 L. tongolensisでは19試料のエーリッヒ試験の結果、全試料において共通のエーリッヒ活性成分の存在が認められたほか、4つの試料において特異な成分が含まれていることが判明した。遺伝子解析では5つのタイプが確認された。遺伝子による分類と成分による分類とは必ずしも対応せず、両者を組み合わせると7つのバリエーションがあることが判明した。一方、対照的に、L. cymbuliferaは採集した12試料全てにおいてエーリッヒ活性成分、遺伝子ともに同じであった。L. vellereaでは、エーリッヒ試験では中甸産15試料と濾沽湖産3試料に大きく分けられた。atpB-rbcL間の遺伝子では二、三の例外を除き、ほとんどの試料で同一であったが、濾沽湖産の1試料では他で見られない箇所の変異が観察された。 L. tongolensis、L. cymbulifera、およびL. vellereaの主成分は、15位の酸化されたフラノエレモフィラン化合物であった。遺伝子解析の結果と合わせると、3種は互いに近いと考えられる。一方、3種のうちCorymbosae節に属するL. tongolensis、L. cymbuliferaからは3位の酸化された化合物が、Scapicaulis節に属するL. vellereaからは酸化されていない化合物が得られており、化合物の酸化段階が分類を反映したものになっている、という事実が判明した。 以上の結果より、L. tongolensisとL. vellereaで多様性が確認されたのに対し、L. cymbuliferaは単一であった。L. cymbuliferaは他種と比較して相対的に最近、急速に勢力を拡大した種であると考えられる。
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