研究課題
本年度の分布調査は2005年8月に雲南省麗江市、迪慶チベット族自治州および四川省甘孜チベット族自治州にて行った。その結果、19種のLigulariaを合計48試料、未同定のLigulariaを12試料、Cremanthodiumを4試料得た。四川省内の標高4000m以上の高地ではL.duciformis、L.virgaureaなど少数の種が広範囲に生育していることを確認したほか、L.cymbuliferaも勢力を拡大していることを見出した。一方、昨年度までに得た試料の成分分析および遺伝子解析が進み、本年度試料の分析結果も加えて一定の成果を得た。まず、L.pleurocaulisでは雲南省と四川省産でフラノエレモフィラン成分およびITS遺伝子の双方において明らかな違いが見られた。3β-(angeloyloxy)furanoeremophil-1(10)-en-6β-olおよびfuranoligularenoneをそれぞれ雲南省産および四川省産の特徴的成分として単離した。一方、L.virgaureaでは根のエタノール抽出液について、TLC上でエーリッヒ試験を行った結果、発色が黄色の試料とピンク色の試料の2グループに分けられることが判明した。前者からは2-oxofuranoeremophilan-1(10)-en-6-olおよびその誘導体を含む7つの新物質が単離、構造決定された。また、遺伝子解析の結果、ITSによるグループ分けが成分と良い一致を示した。2グループは地理的に分離しておらず、混在がみられた。L.virgaureaとL.pleurocaulisは分類上の位置が近く、生育環境も似ているが、グループ分けが地理的に分離しているか否かにおいて好対照、という非常に興味ある事実を明らかにすることができた。この他、L.latihastata、L.duciformis、L.lankongensis、L.tsangchanensis、L.dictyoneuraなどの分析を行い、多くの化合物を単離した。L.latihastata、L.duciformisでは遺伝子において大きな種内多様性があることが判明した。また、比較のため、日本産Ligularia(オタカラコウ)を昨年に引き続き八ヶ岳にて採集した。その結果、昨年得た四国剣山産と成分が異なることが判明した。
すべて 2006 2005
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