研究課題
本年度の分布調査は2006年8月に雲南省迪慶チベット族自治州中甸地区ならびに維西地区を中心に行った。その結果、34試料のLigularlaを得た。維西地区ではL.kanaltzensis var. subnudicaulisが優勢であることを見出した。同じキク科で多様性の存在が予想されるEupatorium属についての予備調査を同時に行い、E.heterophyllumが優勢種であることを確認した。一方、昨年度までに得た試料の成分分析および遺伝子解析が進み、本年度試料の分析結果も加えて一定の成果を得た。まず、L.tsangchanensisでは雲南省産ではcacalolを主成分として含むのに対し、四川省産で非フラン型のエレモフィラン成分が多く、明らかな違いが見られた。ITS遺伝子解析の結果、雲南省産と比較して四川省産は多重度が大きく、両者を区別できるという点で成分分析の結果と一致した。化学成分と遺伝子で多様性に違いが見られる種も見つかった。L.latihastataでは、atpB-rbcL領域の塩基配列において大きく2つのグループに分けられたが、成分では多様性が小さく、全試料からベンゾフラン誘導体が得られた。L.vellereaは雲南省内にて採集した19試料の分析結果から、成分において地理的分離に対応して中甸型、濾沽湖型、昆明型の3つに分けられたが、atpB-rbcL領域の塩基配列では小さな多様性しか認められなかった。L.dictyoneuraは極めて多様性が著しく、成分、遺伝子の双方において試料ごとの大きな差が認められた。本種では形態的な多様化も著しく、将来は種の分化に向かう可能性があると思われる。この他、L.duciformrs、L.lankongensis、L.subsplcata、L.lamarumなどの分析を行い、多くの化合物を単離した。また、比較のため、昨年に引き続いて日本産Ligulariaの採集し、長野県にてL.dentata(マルバダケフキ)およびL.flscheri(オタカラコウ)を得た。
すべて 2007 2006
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