研究分担者 |
桑原 雅夫 東京大学, 国際産学共同センター, 教授 (50183322)
吉井 稔雄 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90262120)
井料 隆雅 神戸大学, 工学部, 助手 (10362758)
羽藤 英二 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60304648)
長江 剛志 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (30379482)
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研究概要 |
本研究では,交通混雑現象の発生している各国の大都市における交通行動データを収集・比較することにより,交通混雑下におけるネットワーク利用特性に関する実証的な知見を得ることを目的としている. 本研究では,低コストで都市の道路ネットワークの混雑状況を把握する手法について開発を行った.この手法は,均衡配分理論を応用して旅行時間を測定すべきリンクの数を減らそうという方法である.この方法では,対象となるネットワークの構造(ノード,リンクおよびそれらの結合の幾何的情報)および各リンクの自由流旅行時間を地図情報から事前に取得する.そして,その情報を元に旅行時間を調査すべきリンクを決定する.測定された旅行時間を元に,旅行時間の調査が行われなかったリンクの旅行時間を評価することが可能である. 上記の手法で使用している理論は経路ベースで記述されており,各OD間の経路を列挙することが本質的には必要である.一方.全経路の列挙は実際のネットワークでは現実的な計算時間で終了させることができない.この理論では全経路を列挙することなく,限定的な経路列挙によって計算を現実的な時間で終了させる手法を提示している.一方,利用者行動の面から見た場合,そもそも利用者が可能性のあるすべての経路を列挙した上で行動を決めているとはいえない.このことを考慮し,本研究では,道路ネットワーク網の情報と起終点を与えたときに,利用者が選びうる経路の選択肢を自動的に抽出するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムの妥当性を評価するために実走実験を行い,一定の信頼性があることを確認した. 本研究では海外のいくつかの都市で実走実験による旅行時間取得を行った.この測定は対象区域の全リンクで行われており,提案した手法と比較することにより対象地域における混雑と利用者行動の特徴を捉えることが可能となる.
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