(1)地方分権の及ぼす効果に関する調査 地方分権化における都市計画、地域計画、地域振興計画の運用実態および課題を把握するための県レベル自治体アンケート調査を実施し、「住民要求に対する応答性」「情報・意思決定プロセスの公開性」「アカウンタビリティ」の項目にかかわる評価および、実際の計画プロセスにおける住民参加度ならびに、予算・事業ならびに住民参加をすすめるための条例制定などの制度の進展度等に関する項目を中心として評価することにより、地方分権の進展、ボトムアップ型地域開発計画プロセスの進展、計画実施における地域性固有の発展条件の反映度の3者間に望ましい関係性のあることを示した。 (2)典型地域における事例調査の継続と比較対照地域での調査 タイ、ならびにインドネシアにおいて行われている自治体主導のボトムアップ型事業に関する詳細な事例分析を行い、合意形成プロセス分析と対照することで、ボトムアップ型開発計画制度の有効性を検討した。この結果をもとに、他のアジア諸国ならびに日本の地方都市における比較検討をおこなった。 (2)ボトムアップ型地域開発計画制度構築のための政策課題の検討と提言 本研究において構築・検証されたボトムアップ型地域開発計画システムを構築していくための具体的な政策課題を抽出するために、国際専門家ワークショップを開催し、本研究で得られた成果発表と議論の場とした。そこで得られた提言を調査全体の提言に盛り込むと同時に、本研究の成果を対象国において敷衍する場とした。 (3)都市・地城開発分野における新たな方向性に関する政策提言 研究成果を総合化・体系化し、地域発展におけるローカルガバナンスの構築の重要性を指摘し、今後の方向性として、都市コーポラティズム型計画先導アプローチ、市民イニシアチブアプローチ、市場主義型プロジェクトアプローチとして整理し、全体の結論とした。
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