研究課題/領域番号 |
16405001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上 真一 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80116540)
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研究分担者 |
井関 和夫 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00371948)
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
大津 浩三 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20033194)
井口 直樹 日本海区水産研究所, 主任研究官 (00371899)
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キーワード | エチゼンクラゲ / ミズクラゲ / 大量発生 / 生活史 / ポリプ / 沿岸環境変動 / 極東沿岸域 / 瀬戸内海 |
研究概要 |
エチゼンクラゲ大量出現とそれに伴う漁業被害は、本邦沿岸のみならず中国や韓国の沿岸でも起こっており、その原因究明と対策が求められている。しかし、これまで本種の卵からクラゲに至るまでの生活史が不明であったことから、ポリプの生息環境、クラゲ発生海域、クラゲの回遊経路など、大量発生の原因究明において最も重要かつ基礎的な情報を得ることが出来なかった。本研究では、受精卵からポリプを経てクラゲに至る生活史を明らかにし、その形態的特徴の把握を目的とした。 エチゼンクラゲの人工授精に成功し、直径60-80μmの受精卵を得た。卵は受精後2-3日で長径170μmの楕円形のプラヌラ幼生に変態した。プラヌラ幼生は、その後7日間にプラスチック容器の底に定着した。着底数時間後には、4本の触手を持つ高さ300μmのポリプに変態した。2週間後には16本の触手を持った700μmのポリプとなり、直径約300μmポドシストを形成し始めた。成長したポリプは高さ2mmとなり、6ヶ月間に最高7個のポドシストを形成した。昇温を行うとストロビレーションが誘発され、24時間でくびれが生じ、7日間で完了した。1個のポリプから5-7枚のエフィラが放出され、基部に縮小したポリプが残った。エフィラは縁弁の直径が約3mmで、縁弁先端部に特徴的な2-5個の小さな突起を持っていた。エフィラはおよそ30日で傘径30mmに達し、親とほぼ同じ形態のメデューサに成長した。この時期から本種特有の体長の10倍にも達する赤紫色の付属器を保有し始めた。一連の調査により、受精卵から幼クラゲに至るまでの飼育に成功し、エチゼンクラゲの生活史をほぼ解明することが出来た。 この他、内湾域に大量出現するミズクラゲの摂餌や成長に関する調査を行った。
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