研究課題/領域番号 |
16405001
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上 真一 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80116540)
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研究分担者 |
井関 和夫 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00371948)
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
大津 浩三 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20033194)
井口 直樹 日本海区水産研究所, 主任研究官 (00371899)
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キーワード | エチゼンクラゲ / ミズクラゲ / 大量発生 / 沿岸環境変動 / 極東沿岸域 |
研究概要 |
2005年はこれまでで最大規模のエチゼンクラゲ大量出現が起こり、日本海沿岸のみならず太平洋側にも出現し、日本列島全体がクラゲに取り囲まれた。近年連続する大量発生の原因究明と対策が急務となっている。今年度は下記の研究実績を得た。 (1)幼若エチゼンクラゲの成長速度と形態的特性 餌としてアルテミアノープリウスを潤沢に与えて幼クラゲを22-28℃の水温で飼育した。その結果、エフィラは遊離10日で傘径約10mmのメテフィラ、20日で傘径約20mmの後期メテフィラに達し、30日で傘径約30mmの親とほぼ同じ形態のメデューサに成長した。その間の平均成長速度は0.11d^<-1>であった。エチゼンクラゲ、ビゼンクラゲ、ヒゼンクラゲの形態的識別は、後期メテフィラ期以降、付属器の形態の差異により可能であった。エチゼンクラゲは体長の10倍にも達する赤紫色の糸状付属器を保有し、ビゼンクラゲは円錐状付属器、ヒゼンクラゲは小判状付属器を保有した。 (2)エチゼンクラゲの呼吸速度 2005年7月下旬対馬近海でクラゲを採集し、容量約50Lの密閉したプラスチックタンク内で呼吸速度を測定した。水温24℃におけるエチゼンクラゲ(平均体重3.4kg)の平均呼吸速度は、0.012mL^<-1>O_2 g^<-1> wwhr^<-1>であった。 (3)鉛直分布と出現密度 対馬下島西岸沖(北緯:34°16′、東経:129°10′、水深65m)で、口径1.4mの円錐型ネット(目合:1cm)を10、30、50mの3層で15分間水平曵した結果、エチゼンクラゲは水柱全体に分布しており、平均密度は2.5個体/1000m^3であった。1日当りの日本海への輸送量は、約3-5億個体と推定された。 (4)水理モデルによるエチゼンクラゲの輸送パターンの推定 流況、風などを基準としたモデルにより、2005年のエチゼンクラゲの輸送パターンの再現に成功した。
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