研究課題/領域番号 |
16405001
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上 真一 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (80116540)
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研究分担者 |
井関 和夫 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (00371948)
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
大津 浩三 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20033194)
井口 直樹 日本海区水産研究所, 主任研究官 (00371899)
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キーワード | エチゼンクラゲ / ミズクラゲ / 大量発生 / 沿岸環境変動 / 極東沿岸域 |
研究概要 |
2006年も昨年度に引き続きエチゼンクラゲ大量出現が起こり、これで2002年以降ほぼ連続大量出現となり、常態化がはっきりしてきた。黄海全体に本種が分布し、中国青島沿岸でも本種が大量に出現して海水浴客に刺傷を与えるなどの問題を引き起したことから、エチゼンクラゲ大発生は東アジア縁海域全体の問題となっている。今年度は下記の研究実績を得た。 (1)フェリー目視調査による黄海のエチゼンクラゲの分布 下関と青島の間を航行するオリエントフェリーから、航路上に出現するエチゼンクラゲを計数し、対馬海峡に輸送される以前の黄海での出現と分布状況を明らかにした。7月上旬に本種は既に黄海全域に分布していた。7月21日に対馬北西海域で輸送先頭集団と最初に遭遇した。また対馬東水道での目撃例はなかったことから、2006年はクラゲ群の主体は対馬西水道を輸送されたと考えられた。2006年9月上旬に青島を訪問した際、夏季海水浴シーズンにクラゲによる刺傷事件が多発した情報を入手した。 (2)エチゼンクラゲの生殖性の成熟、産卵、受精過程の解明 晩秋から初冬に隠岐の島近海で元気よく遊泳しているクラゲは未熟な生殖腺を有し、一方海岸に打ち上げられた損傷個体は成熟した生殖腺を有していた。クラゲを網に閉じ込めるなどのストレスを与えると、生殖腺は急激に成熟することを明らかとし、生殖性の成熟から、産卵、放精、受精の一連の過程を詳しく顕微鏡観察し、光照射がこれらの過程を一気に進める刺激となることが明らかとなった。これらの事実は、定置網やトロール網などによる損傷はクラゲの繁殖の機会を高める可能性があることを示している。 (3)中海本庄工区のミズクラゲの季節的消長と動物プランクトン捕食インパクト ミズクラゲは夏季、秋季を中心に大量に出現し、カイアシ類と主体とする動物プランクトンを餌としていた。ミズクラゲ個体群の日間捕食インパクトは動物プランクトン現存量の約30%にも及んだ。
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