研究分担者 |
工藤 純一 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (40186408)
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40216932)
太田 宏 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (10221128)
|
研究概要 |
本年度は今まで継続してきたノボシビルスクでのノアデータの受信ができなかったので、ハンテマンシスクおよびクラスノヤルスクで受信したノアデータを画像化し、画像データから正規化植生指数(NDVI)を算出し、チャニー湖の湖水面積のモニタリングを継続した。食物網の解析としては、チャニー湖に流入するカルガット川の流入部から湖奥部にかけて、とくに河川流入部を中心に、いくつかの地点で植物プランクトンを主体とするPOM(懸濁態有機物)と動物プランクトンを採集し、炭素・窒素安定同位体比を測定することにより、浮遊系食物網を調べた。その結果、窒素同位体比の値から動物プランクトン各種の栄養段階が判定できた。また各地点のPOM(植物プラングトン)と各栄養段階の動物プランクトンの炭素・窒素同位体比が平行して変化したことから、地点間で食物連鎖が分離していることが分かった。チャニー湖沼群は、現在の海岸線から2千Kmも内陸に位置するにもかかわらず、溶存する塩類の組成が海水に類似し、加えて硫酸塩の硫黄安定同位体比が、下部カンブリア系に固有の著しく重い値(δ^<34>Sが+28‰以上)を示す。この塩類の供給源を、湖を取り巻く地形や既存の地質資料の考察に基づいて、溶存塩類が第四系下に伏在する蒸発岩の天水による洗脱と推定し、さらに流入河川の上流域を調査し、その供給源を確認した。さらにこれまでチャニー湖沿岸から採集した植物標本を同定しておおよそ100種を確認し、またこの地域で調査した植生資料を検討し,夏緑広葉樹林,低層湿原植生,湿性草原,塩性湿地植生,乾性草原に関して,群落分類を行った。さらに近隣の地域の草原と比較し,チャニー湖地域の草原植生の特徴を把握した。アカガエル科のカエル1種のチャニー湖沼群における分布と塩分との関係を調査したところ、その分布は塩分により制限されていることが分かった。
|