研究課題/領域番号 |
16405005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊地 永祐 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00004482)
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研究分担者 |
工藤 純一 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (40186408)
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (40216932)
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
太田 宏 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助手 (10221128)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | ロシア / チャニー湖沼群 / 炭素・窒素・硫黄安定同位体比 / 内陸性塩水湖 / 食物網 / NOAA画像データ / 湖水面積変動 / 西シベリア |
研究概要 |
チャニー湖河口域の2カ所に調査地点を設け、プランクトンや底生動物のほか、高次の魚類も含めた食物網の解析を進めた。その結果、コイ科魚類の当歳魚は、各地点から移動せず、その場の動物プランクトンを餌としており、河口域内では近距離の問でも当歳魚も含めた食物連鎖が分離していることが確かめられた。しかし、当歳魚でも魚食性の魚種は移動力が大きく、食物連鎖を連結する働きがあることが分かった。また、コイ科の成魚は、雑食性で、植物プランクトン(浮遊系)起源のほかに、水生植物付着物をも含めた堆積有機物(底生系)起源の餌も食べており、浮遊系と底生系の食物連鎖を連結して、植物プランクトンと大型水生植物の生産がともに高いチャニー湖沼群において、その沿岸食物網の複雑化に寄与していた。チャニー湖沼群は、溶存する塩類の組成が海水に類似し、加えて硫酸塩の硫黄安定同位体比が、下部カンブリア系に固有の著しく重い値を示す。この塩類の供給源を、湖を取り巻く地形や既存の地質資料の考察に基づいて、溶存塩類が第四系下に伏在する蒸発岩の天水による洗脱と推定し、さらに流入河川の上流域を調査し、その供給源を確認した。チャニー湖沼群をカバーするノアデータを画像化し、画像データから正規化植生指数(NDVI)を算出することによる、その湖水面積と沿岸植生の変化のモリタリングを継続した。現地調査結果と合わせ、湖水面積の変化は雪解け水とヨシの成長による沿岸植生の変化によって大きな影響を受けることが分かった。チャニー湖沼群の水体の中で、ユディンスキー・プールと呼ばれる孤立した水体の面積は、降雨量と蒸発量に依存しており、またその年変化が大きく、このプールの面積変化は南西シベリアの気象環境の変化を鋭敏に反映することが推察された。
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