研究課題
基盤研究(B)
本研究では、熱帯雨林冠部での(1)シロアリ間、(2)着生植物-アリ-ゴキブリ間、(3)アリ-シロアリ間といった生物間相互作用の形成・維持機構を明らかにした。1.シロアリ間相互作用森林を林床部、林冠部、中間層にわけてとらえ、それぞれにおけるシロアリの多様性および機能群組成を調査し、さらにそれぞれの生息地域階層間のシロアリの移動能力についても調べた。これらの結果より、森林内において、通常林床部のみに生息していると考えられていたシロアリは、林冠部においても多く生息し、また高い生息地域階層間の移動能力を有していた。またそれぞれの生息地域階層ごとに特異的な多様性や種間相互作用を有することが分かった。2.着生植物-アリ-ゴキブリ間相互作用2種の着生シダ、Platycerium coronariumおよびLecanpteris sp.に営巣する樹上性のシリアゲアリC. difformisおよびゴキブリPseudoanaplectinia yumotoiの調査および化学分析を行った。その結果、アリの個体数が著しく減少した着生シダ類は黄変し枯死したことから、2種の着生シダにとって、シリアゲアリが必須の共生相手である可能性が高く、このゴキブリはシリアゲアリのコロニーにおける特有かつ唯一の好蟻性昆虫で、共棲していることが明らかとなった。また、これまで知られていた好蟻性昆虫の化学擬態とは全く異なる方法で、このゴキブリはアリコロニーに侵入していることが示唆された。3.アリ-シロアリ間相互作用コウグンシロアリの採餌行列の維持メカニズムを生物検定およびGC分析により明らかにした。その結果、囲い込みフェロモンと道しるべフェロモンという異なる機能をもつ2種類のフェロモンによって、コウグンシロアリの採餌活動中の行列が安全に制御されていることがわかった。「囲い込みフェロモン」は兵蟻の頭部から分泌される難揮発性成分で、「道しるべフェロモン」は腹部に存在し、その構成成分には両カースト共通にはたらく物質と、各カースト特異的にはたらく物質が存在すると示唆された。
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