研究課題/領域番号 |
16405012
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
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研究分担者 |
原 慶明 山形大学, 理学部, 教授 (60111358)
玉手 英利 山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
中内 祐二 山形大学, 理学部, 助手 (60250908)
上島 励 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (20241771)
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キーワード | パラオ諸島 / 海産動物 / 海水湖集団 / 遺伝的多様性 / タンパク質 / 藻類 / 陸生貝類 / 分子系統解析 |
研究概要 |
18年度は6月と11月の2回パラオ諸島で調査を行った。始めて調査に入った海水湖3ヶ所を含め、複数の海水湖群と周辺の外海で海産動物や藻類の生息状況を調べ、サンプルを採集した。持ち帰ったサンプルは形態観察、分子系統解析、タンパク分析などに用いた。 魚類では、すでに報告したトウゴロウイワシ科Atherinomorus endrachtensisの他に、同属の未記載種が海水湖に生息することが明らかになった。イガイ科貝類では、それぞれ東西の海水湖群に少なくとも2種の未記載種が生息することが推定された。海水湖のミズクラゲAurelia sp.4の他に、今年度は別種のAurelia sp.3がこれまでになく外海で増殖しているのが確認された。その集団の遺伝的多様性は通常の動物集団の水準に近く、これに比べて海水湖のAurelia sp.4集団の遺伝的多様性は著しく低く、強いビン首効果を受けていることが推定された。Aurelia sp.4とsp.3の全構成タンパク質を二次元電気泳動法により比較分析した結果、分子量と等電点が一致するスポットは約15%に過ぎず、両者のタンパク組成が大きく異なっている可能性が示された。動物プランクトンの種組成は、海水湖と周辺の外海で大きく異なり、カイアシ類の主要な捕食者であるヤムシ類は外海と全還流型海水湖では観察されるが、半還流型海水湖では見られなかった。 多核管状緑藻類では、半還流型海水湖においてビン首効果による遺伝的多様性低下と考えられる証左を得た。タコクラゲ共生渦鞭毛藻類では、ミニサークルDNAのpsbA遺伝子非コード領域に基づく集団遺伝学的解析により、この藻類が海水湖ごとに特有の遺伝的多様性と進化傾向を持つことが明らかになった。 陸生貝類では、ゴマガイ類などを始めとして、島ごとに特有の形態的分化を遂げた多くの未記載種が生息することが明らかになった。
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